日本歴遊記vol.15
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日本最初の禅寺の地「御供所」へ歴遊旅をしてきました。
御供所(ごくしょ)という地名がどこなのか、わからない方が多いでしょう。
ここは福岡の博多祇園からすぐのところで、鎌倉時代から続く歴史ある寺町です。
筑前国一宮「筥崎宮(はこざきぐう)」へのお供物を取り揃えたことが、地名の由来になったと伝えられています。
筥崎宮は、別称、筥崎八幡宮といい、三大八幡宮の1つに数えられます。
まずは、聖福寺を開いた栄西禅師(えいさいぜんじ)について触れておきましょう。
明庵栄西(栄西禅師)
明庵栄西(みょうあんえいさい)は、岡山県にある吉備津神社の神職の子として生まれました。写真は、6年前に、栄西誕生の地を訪れた時のものです。栄西は、日本の臨済宗の開祖、そして、茶を持ち帰った茶祖としても名高い僧です。
臨済宗の開祖として
14歳で出家得度(仏門に入り僧となる許可を受ける)、比叡山の延暦寺などで、天台宗の教学と密教を学びます。28歳、平家の支援を得て南宋に留学し、南宋で繁栄していた禅宗を学びます。51歳になり、九州で布教に励みます。多難を乗り越え、55歳の時、日本最初の禅道場となる聖福寺を建立します。やがて、59歳、鎌倉に入り、二代将軍「源頼家」と会見。そして、60歳の時、北条政子建立の寿福寺の住職として招かれました。62歳の時、京都に建仁寺を建立。その後、幕府や朝廷の支援を得て、禅宗の振興に努めました。
茶祖として
南宋から帰国の際に、茶の種子を請けて持ち帰り、茶樹の栽培や喫茶の方法を伝え、後には、「茶祖」と称されました。日本の貴族だけではなく、武士や農民にまで、茶を飲む習慣が広まるきっかけとなりました。71歳の時、喫茶の効能や製法を述べた「喫茶養生記」を書いて、74歳で、三代将軍「源実朝」に献上します。75歳で亡くなりました。
明庵栄西の略歴早見表
年齢 | 出来事 |
14歳 | 出家得度 。 |
28歳 | 南宋で繁栄していた禅宗を学ぶ。 |
51歳 | 九州で禅宗の布教に励む。 |
55歳 | 日本最初の禅道場となる聖福寺を建立。 |
59歳 | 鎌倉で二代将軍「源頼家」と会見。 |
60歳 | 鎌倉の寿福寺の住職として招かれる。 |
62歳 | 京都に建仁寺を建立。 |
71歳 | 「喫茶養生記」を著す。 |
74歳 |
三代将軍「源実朝」に「喫茶養生記」を献上。 |
75歳 | 京都で亡くなる。※鎌倉説もある。 |
それでは、扶桑最初禅窟「聖福寺」を目指して歩きます。
聖福寺(しょうふくじ)
▼縁起
建久6年(1195年)、源頼朝により、この地を賜り、栄西禅師を開山として創建された日本最初の禅寺です。元久元年(1204年)、後鳥羽天皇より、日本で最初の禅寺である「扶桑最初禅窟(ふそうさいしょぜんくつ)」の勅額を賜りました。
塔頭は多い時には38院を数え、境内の一部は、寺中町を形成し、当時から今でも博多の地名に残っております。
聖福寺は、初め建仁寺派に属していましたが、江戸時代に黒田長政の命により、妙心寺派に転派したようです。
▼創建
建久6年(1195年)
▼山号
安国山
▼寺号
聖福至仁禅寺(しょうふくしぜんじ)
▼開山
栄西禅師
▼宗派
臨済宗妙心寺派
勅使門
創建時期は不明ですが、1700年初頭以前のものと考えられている。
十六弁の菊の御紋章。
無染池(むせんいけ)
正式には無染池と言いますが、瓢の形をしていることから「瓢池(ひょうたんいけ)」と呼ばれ親しまれています。
山門
江戸時代初期、志摩桜井神社の観音堂を移築。1866年の火災の際に、「扶桑最初禅窟」の勅額は落下して消失を逃れました。
仏殿
天正17年(1589年)、「耳峯玄熊和尚(じほうげんゆうおしょう)」によって中興。両端には丸窓があります。これは、栄西禅師が渡った南宋の寺院でも丸窓が多く見られるようです。天井ある龍の彫刻は、狩野安信(探幽の末弟)の画を木彫りに改めました。
三世仏
左から弥陀、釈迦、弥勒
よく、京都の建仁寺や鎌倉の建長寺が日本最初の禅寺という記事を拝見しますが、整理すると、次のようです。
・栄西禅師が布教を通じて建立を始めた日本最古の禅寺といわれる寺院がいくつかある。
・聖福寺は、天皇から「扶桑最初禅窟」の勅額をもらった日本最初の禅道場。(1195年創建)
・建仁寺は、天台・密教・禅の三宗兼学の道場であり、京都最古の禅寺。(1202年創建)
・建長寺は、1255年に造られた梵鐘に「建長禅寺」とあり、日本で最初に「禅寺」と称した臨済宗だけを修行する専門道場。(1253年創建)
・寿福寺は、1200年に栄西禅師が住職となり、七堂伽藍を擁する大寺院であったが、禅寺として体制が整ったのは、1278年頃と推定。(1200年創建)
福岡博多の御供所巡り。
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