日本歴遊記vol.5
#歴遊旅 #巡礼 #御朱印
「巡礼こそ旅のはじまり」
人類が誕生してから世界では数多くの宗教が成立してきました。
人間の知識の限界を超越した事象は、すべて神のなせる業とされ、不可思議な場所や、清らかな場所などは、神が宿る神聖なところ(聖地)と位置付けられて礼拝の対象となりました。
その聖地礼拝として巡礼に出かけるのが「旅」のはじまりです。
日本の巡礼
日本の巡礼は、国土も狭く、世界とは異なる巡礼形態が生まれてきました。
一定の地域のなかにある聖地を数を限定して巡るという形態です。
三十三や八十八という宗教的な数をうつ世界には類をみない貴重な存在です。
本格的な巡礼としては、畿内地方を中心とした三十三所観音巡礼が最初と伝えられています。
続いて、関東地方に坂東三十三所が生まれ、やがて坂東巡礼が成立しました。
源頼朝は、観音様をとても篤く信仰しており、三代目将軍「源実朝」は、京文化への憧れが増し、畿内の観音巡礼にならって、坂東巡礼が生まれました。
やがて、畿内は「西国」、関東は「坂東」という三十三観音巡礼がされるようになっていきました。
鎌倉三十三観音礼所
鎌倉三十三観音礼所とは、神奈川県鎌倉市にある33か所の観音礼所のことです。
観音様は33に化身して人々を救うという観音信仰によって、観音菩薩を安置する33の礼所を巡ります。
江戸時代に成立した鎌倉三十三箇所を基に、新たに大正から昭和初期にかけて鎌倉三十三観音霊場が設定されました。
観音様は、現世利益を叶えてくれる仏様なので、縁結び、家内安全、合格祈願、商売繁盛んどの願掛けをしながら巡礼するのも醍醐味のひとつです。
私は、健康祈願と家内安全で2年近くかけて巡礼し、結願しました♪
鎌倉三十三観音礼所一覧
No | 寺号 | 札所本尊 | 17 | 補陀洛寺 | 十一面観世音菩薩 |
1 | 杉本寺 | 十一面観世音菩薩 | 18 | 光明寺 | 如意輪観世音菩薩 |
2 | 宝戒寺 | 准胝観世音菩薩 | 19 | 蓮乗院 | 十一面観世音菩薩 |
3 | 安養院 | 千手観世音菩薩 | 20 | 千手院 | 千手観世音菩薩 |
4 | 長谷寺 | 十一面観世音菩薩 | 21 | 成就院 | 聖観世音菩薩 |
5 | 来迎寺(西御門) | 如意輪観世音菩薩 | 22 | 極楽寺 | 如意輪観世音菩薩 |
6 | 瑞泉寺 | 千手観世音菩薩 | 23 | 高徳院 | 聖観世音菩薩 |
7 | 光触寺 | 聖観世音菩薩 | 24 | 寿福寺 | 十一面観世音菩薩 |
8 | 明王院 | 十一面観世音菩薩 | 25 | 浄光明寺 | 千手観世音菩薩 |
9 | 浄妙寺 | 聖観世音菩薩 | 26 | 海蔵寺 | 十一面観世音菩薩 |
10 | 報国寺 | 聖観世音菩薩 | 27 | 妙高院 | 聖観世音菩薩 |
11 | 延命寺 | 聖観世音菩薩 | 28 | 建長寺 | 千手観世音菩薩 |
12 | 教恩寺 | 聖観世音菩薩 | 29 | 龍峰院 | 聖観世音菩薩 |
13 | 別願寺 | 魚籃観世音菩薩 | 30 | 明月院 | 聖観世音菩薩 |
14 | 来迎寺(材木座) | 聖観世音菩薩 | 31 | 浄智寺 | 聖観世音菩薩 |
15 | 向福寺 | 聖観世音菩薩 | 32 | 東慶寺 | 聖観世音菩薩 |
16 | 九品寺 | 聖観世音菩薩 | 33 | 仏日庵 | 十一面観世音菩薩 |
第1番礼所「杉本寺」
鎌倉最古の寺院。734年、聖武天皇の后である光明皇后の御願により、藤原房前(ふじわらのふささき)、行基菩薩によって、建立されたました。御本尊は三体の十一面観音様で、鎌倉時代に火災が起こった際に、御本尊三体自ら庭内の大杉の下に火を避けられたので、「杉の本の観音」と呼ばれるようになったと言い伝えられております。源頼朝が寄進した前立本尊十一面観音様が安置されており、間近に拝観できるだけではなく、内陣の御本尊も近くで拝ませて頂ける貴重なお寺です。また、境内には古からの時の経過を感じさせる苔むした階段があり、これまで訪れた人々の歴史に思いを馳せる場所です。鎌倉三十三観音巡りを始める際には、こちらからの発願をお薦めいたします。
風情のある茅葺屋根
鎌倉でも数少ない茅葺きの御堂です。茅葺きの屋根は、およそ10年~15年ごとに葺き替え工事を必要としているようですが、かつては20年以上もったのが、気候の変化により、耐久年数も短くなっているようです。仁王門、本堂茅葺屋根を守り抜いていくのは、費用・管理ともに大変なことですよね。
山門の仁王像
山門を守る仁王像(金剛力士)は運慶作と伝えられています。
※運慶は、鎌倉時代に活躍した奈良の仏師。
杉本寺の御朱印
鎌倉三十三観音礼所巡りの第1番礼所は、杉本寺です。
※坂東三十三観音も杉本寺が第1番。
御朱印巡りをされる方は、三十三観音巡りの1番目に、杉本寺を参詣すると「発願印」を頂けます。
※写真左上の印です。
観音様に手を合わせた後に、御朱印をお願いするように心がけましょう。
▼御朱印解説
①【奉拝・俗称の墨蹟と朱印】:鎌倉観世音第一番
②【本尊名・観音名など】:梵字+十一面大悲殿
※梵字はキャと読み、観音様を表します。
※大悲殿は、十一面観音を祀るお堂のことです。
③【印】:本尊を表す印
④【寺号】:杉本寺
⑤【寺院の印】:鎌倉最古佛地杉本寺
その他:発願印
御朱印とは
御朱印は、もともとお経を自分で書き写して、寺院に納め、その証に頂くものでした。御朱印はいつの頃からか、納経しなくても、参詣の証に頂けるようになりました。スタンプではありませんので、ご注意ください。
御朱印の発願印・結願印とは
【発願印】
礼所巡りでは一番礼所で押される印です。
鎌倉三十三観音では、「杉本寺」。
最初に杉本寺を参拝しなければ押して頂けません。
【結願印】
礼所巡りの一番最後とされている寺で押してもらえます。
鎌倉三十三観音では三十三番礼所の「佛日庵」。
最後に行かなければ、教えて頂けません。
本格的な旅装束(巡礼衣装)を着て、御朱印巡りを楽しむのも別格の体験になると思いますので、是非ご利用下さい。
コメントをお書きください